相変わらず、不景気が続いてる。
そこに拍車をかけて、美容室の出店ラッシュは、過激になるばかり・・・。
今まで長年、平穏無事に営業してきた美容室なのに、毎年毎年、お客さまの減少に頭を抱える日々・・・。
こんな状態がいつまで続くのだろう・・・?と言って不況のせいにしていても、現状は変わらないし。
さて、どうしたら良いものか・・・。いったい何をしたらお客さまは戻ってきてくれるのか?
そこで、考えることは、講習会、セミナー。技術講習会に通う日々。
ニューラインの髪型、最新セニングシザーを使ったスタイル、カラーの新色講習会、形状記憶パーマ、最新まつ毛パーマ、トリートメント、女性うぶ毛そり。
次から次へと、開発される新商品と、新技術。それを、ひたすら追いかける毎日。
講習会と聞けば、スタッフを連れて、どこにでも出かける日々、組合の講習会、ディーラーさんの講習会、メーカーさんの講習会、東京にセミナーがあると聞けば東京へ、名古屋と聞けば名古屋に・・・。
巷では、大手のチェーン店の美容室が幅を利かせている。
大きな投資をしてガラス張りのキレイな美容院。安さと早さを売り物の激安美容院。
キャンペーンの○○%OFFのチラシ広告、最新メニューを紙面いっぱいに書き並べたオシャレな美容室。
どのサロンも、目新しさを売り物に大合唱。かたや、既存の個人店の美容院はおされ気味。
できることならば、新しい技術を追いかけるより、自分の得意な技術を売りたい。
自信のあるカット、パーマ、カラー・・。やっぱり、安売りはしたくない。
長年、苦労して覚えてきた技術なのだから・・・。
しかしながら、今まで、しっかり固定していたかに見えていたお客さまは、激安店に走ったり、目新しい綺麗なチラシのサロンになびいたり・・どんどん失客。
毎月毎月、前年度の売り上げを割り込む日々。
いったい、いつになったら、景気は底をつくのか?まったく先が見えず、かといって、現状に任せて、お客さまの戻ってくる日を指折り数えたところで、このままでは・・・・。
そんな状況を毎日目にしていると、安売りチラシを出すしかないと思った。
今まで、安売りは絶対にしたくはなかったけれど、毎日のように折り込まれてくる美容室のダンピングチラを見ていると、きっと綺麗なチラシで○○%OFFならば、集客できるのかもしれない・・。
そして、いよいよ○○%OFFの広告が出来上がり、折り込んでみた。
それも、思い切って、50%OFFにしてみた。今の時代のキーワードのような「半額」。
予想通り次の日から、大忙しになった。
ほっと安心したのもつかの間、キャンペーンが終わると潮の引くように、お客さまは去った。
何回かそのようなチラシを繰り返し折り込んでみた。
結果は同じ。キャンペーン中は来店するけれど、期間が終わると、また来ない。
挙句の果てには、「次の半額キャンペーンはいつするのですか?」とお客さまに聞かれ、そんなこんなで、チラシ代がうなぎのぼり・・・。
このまま続けてはいけない。
大資本のチェーン店じゃないんだから・・・。
私のサロンは、スタッフ2人の小さな美容室なのだから・・・。
しかし、考えてみると、技術、サービスの講習会は沢山あるけれど、お客さまの集め方の講習会は、あまり聞いたことがない。
サンキューレター、顧客管理ソフト、顧客名簿を元にキャンペーンのDM、バースデーはがき、お客さまに対する接客講習会etc・・・。
すべて、最低一度は、来店していただけたお客さまにしかできないこと。
一度も、自店に来たことのないお客さま(見込み客)の集客法は、他店の折り込まれてくるチラシを参考に、広告屋さんと相談しながらチラシを作るだけ。
なので、○○%OFFか、○○キャンペーンや最新メニューを書き並べるしか思いつかない。
しかも、安売りして、期間中しか来なければ、利益が取れない。
もっと、利益の取れる方法はないものだろうか?
今までの、美容室の集客法は、お店をオープンさせることで、ほぼ解決していた様に思う。
新しいきれいなお店をオープンさせれば、自然にある一定の新規客は、来店して頂けた。
それは、お店が今ほど多くはなかったから・・。
しかし、今は、出店ラッシュ。更に、お客さまの来店周期も延び、不況の影響で、激安店に流れるお客さまも多い。
そりゃ、今までのように、お店開いて待っていても、来るはずがないことは、分かってはいるけれど、過去にそれほど必要がなかった集客知識。
それが、今は必要になっちゃって。でも、その集客法がわからない。
そんな、悶々とした日々を送りながら、考えた。
同業者に聞いても一様に悩んでいるばかり。
どこの美容室でも、集客法はあまり知らないようなのだ。
言ってみれば、固定化の方法論だけ。
今、必要なことは、新規のお客さまを、どのように連れてくるのかってこと。
「集客」が知りたいのだ。美容業界の中ではなく他業種ではいったいどのように、集客しているんだろうと・・・と考えた。
そこで、しばらく業界を離れ、他業種での、勉強会に出はじめた。
そうしたら、徐々に分かってきた。お客さまの集め方。「集客法」が・・・。
目からうろこ。
「な~んだ、そうゆうことだったのか!」これが、そのときの感想。
「他業種では、集客法は当たり前に勉強していたんだ!」ってね。
特に、通信販売業界。
ここは、とっても進んでいて、チラシ1枚で、どれだけの新規のお客さまを集めていると思うだろうか?いや~びっくり!桁違い。
それも全国に向けて、何千人、何万人の新規客を、チラシ1枚で集客していたのだ!
これには正直ビックリ!した。
美容室では、月に、数人、数十人を集めることに、悩んでいるのに、通販業界では、数百人、数千人を、たった1日で集めていたのだ。
その、集客方法を3年間学んだ。
そのノウハウに基づき、美容室用にアレンジして、チラシを1枚作ってみた。
そしたら・・・。
折り込んだその日から、新規客が来店して頂けた。そして、次の日も、そして、また次の日も・・・。
面白いようにお客さまが来店されるではないか!
「こんなにカンタンに新規客って集められるんだ!」って・・・。
「今まで、悩んでいたことが、うそみたい!」ってね。
それも、安売りは一切せずに、キャンペーンもしないで、いつもの技術といつものサービス。
ひとつ、したことといったら、このノウハウのチラシを1枚折り込んだだけ。
それも、自分の得意なカット、パーマで・・・。
安売りしないから、利益率は高いし。不思議なことに、このチラシで来店されたお客さまは、固定率が高い。
実は、この方法には「仕掛け」があったのだ。
それから、毎月その集客法で、チラシを折り込んで、確実に、毎回儲かるチラシが作れるようになった。
もう、集客で悩む必要はなくなった。
そして今、お客さまをこなしきれなくなって、もう1人スタッフを採用。
で、私の美容室では、いまだに客数、売り上げは右肩上がり。
この集客法は、当たり前すぎて・・・誰も気がつかない。
そのポイントとはいったい・・・。
それは「感情」だったんだ!
人が、どんな時代でも一貫して持っているこの「感情」人は、行列ができていると気になり、そのお店を覗きたくなる。
どんな良いことでも、「押し売り」と感じると、警戒する。
自分と同じ立場の人の言葉は、信用してしまう。
みんなが持っているものは、欲しくなる。反面、みんなが持っているから、違うものを欲しくなる。
それも、感情のひとつ。
「キレイなお店」には近寄るが、「信用できない」と判断すると、入ってはいかない。
ある一定ラインの、「信用」を感じたとたんに、消費者は、いっせいに飛びつく。
この「心理的」な「感情」のバランス。
この感情によって、お店に入ったり、品物を買ったりといった「行動」に移るのだ。
消費者の「行動」には、必ず「理由」があるのだ。
この、誰もが無意識にしている「行動」。当たり前すぎて、誰も気がつかない。
これを逆手にとって、消費者を「行動」させる「理由」を作り出すわけだ。
それを、美容室のチラシに応用したら、こんなにカンタンに、新規客を集客できるではないか。
以前の、最新技術講習や、50%OFFのチラシはいったいなんだったんだろう。
もっと早く気づいていたなら、あのチラシの費用はまったくいらなかった。
しかし、それによって学べたことは、やはり大きい。
チラシを始める前の売り上げと、始めてからの売り上げを見て驚いた。
ちょうど2倍になっていたのだ。
売り上げグラフを見ると、チラシを始める前までは、毎月前年度を割り込んでいたのに(右肩下がり)、チラ
シをはじめた月を境に、売り上げは右肩上がりに転換していた。
これを読んでいるみなさんは、信じられないと思うかもしれないけれど事実。
それも、1回にかかるチラシの経費は、2万円程。
それなのに、毎月チラシで来店する新規客は10人~20人。
売り上げにして、7万円から20万円。
このチラシの方法を知ってからは、チラシを出すことが楽しみになった。
サロン経営もこのチラシという武器を持ったことで、安心して見ていられる。
そして、何といっても楽しいことは、私の思い通りに、お客さまが「行動」することに快感さえ覚える今日この頃・・・。
例えば、パーマ客が欲しいと思えば、パーマのことを書くと、その月はパーマの新規客が多く来店する。
縮毛矯正のお客さまが欲しいと思えば、縮毛矯正について、書くだけで10人~20人の新規客が来てしまう。
お孫さんを持つおばあちゃんが欲しいと思えば、それは勿論カンタンだ。
このように、あの、出口の見えなかった不安な日々、そして、毎週講習会で新技術を習って、キャンペーンを打って、したくもない安売りして・・・。
まだ、チラシを始める前のあの、悩んでいた日々が、随分遠い日々のようにも感じてしまう・・・。
今は、別世界、集客がまるでゲームのよう。
今月も最低の経費で、何人新規客を来させることができるのか・・・